消費税の納税額の計算方法は?法人や個人事業主のために徹底解説!
消費税の納税額の計算方法は?法人や個人事業主のために徹底解説!

納税が必要な税金の1つ「消費税」の計算方法を解説

「今年から消費税の納税しないといけないけど、計算方法がわからない。」

「消費税は、今年どのくらい納税しないといけないんだろう。」

こういった疑問をお持ちの企業の経理担当者や個人事業主の方もいらっしゃると思います。

本記事では、消費税の概要や計算方法を詳しく解説。また、消費税計算における税抜き・税込み計算や端数処理の方法について紹介しています。

本記事の解説を読むことで、消費税の制度や計算方法の仕組みを理解でき、余裕をもって消費税の確定申告を行うことができるでしょう。

目次

消費税とは

消費税とは

消費税は日常生活に深く関連しており、最も身近な税金の一つです。しかしながら、消費税の徴収方法や納税額の計算方法はよく知らないという人も多いと思います。

以下では、消費税制度の概要や仕組みから、税率・納税額の計算概要を詳しく解説します。

消費税制度の概要・仕組み

消費税は、その徴収方法から間接税と呼ばれます。間接税とは、実際に税金を納める人と、その税金を負担する人が異なる税金をいいます。

例えば、あなたがスーパーで物を購入した場合を想像してみて下さい。あなたは、物の代金に加に応じた消費税をお店に支払いますが、実際に、国・地方公共団体への納税手続きをしている訳ではありません。

あなたからお金を預かったお店が納税しているのです。消費税はこのような間接税と呼ばれる税金の徴収方法を採用しています。

一方で、税金を納める人と税金を負担する人が同じである税金を直接税といいます。所得税や法人税が代表的な直接税です。

消費税の納税義務の対象

消費税の納税義務が発生するのは以下に該当する取引を行った場合です。

「国内において、事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供」(非課税取引は除く)

これに該当する取引により対価を得た事業者は、原則として消費税の納税義務を負います。しかしながら、一定の規模による免除要件が設けられており、一定規模以下の事業者は納税義務を免除されます。

免除要件は、法人の場合は前々事業年度、個人事業主の場合は前々年における課税売上高(消費税の課税対象となる売上高)が1,000万円以下の場合とされています。

消費税の税率・納税額

令和元年(2019年)10月より、日本の消費税率は、10%(国税7.8%、地方税2.2%)となっています。

ただし、一部の対象品目のみ軽減税率が適用され、8%(国税6.24%、地方税1.76%)の税率が課される場合もあります。

軽減税率の対象品目は、以下の2種類に限定。

  • 飲食料品(酒類、外食・ケータリング等は除く)
  • 新聞

消費税の税率は、解説のとおりですが、実際の納税額はどのように計算されるのでしょうか。

商品等を販売し顧客から10パーセント(軽減税率8パーセント)分の消費税を「預かった」訳ですが、その「預かった」金額をそのまま納付するわけではありません。

なぜなら、消費税を顧客から「預かっている」一方で、商品の仕入れ等で消費税を既に「支払った」分もあるからです。

そのため、実際にあなたが、消費税を国・地方公共団体に納付する場合には、その「預かった消費税」から既に「支払った消費税」を差し引いて納付金額を算定することになるのです。

より具体的な計算方法について、以下で詳しく解説していきたいと思います。

消費税の計算方法

消費税の計算方法

消費税の納税額の計算方法は、既に解説したとおり、顧客から売上代金とともに「預かった消費税」から、商品の仕入れ等で既に「支払った消費税」を差し引いて納税額を算定します。

以下では、この納税額の計算過程をより詳細に解説していきたいと思います。

なお、消費税は国税である「消費税」と地方税である「地方消費税」に分かれますが(それぞれ税率7.8%、税率2.2%、軽減税率の場合は税率6.24%、税率1.76%)、計算過程に違いはないため、以下では国税と地方税を区別せず解説しています。

消費税の基本の計算式

消費税の基本の計算式は以下のとおりです。

納付税額 = 課税売上に係る消費税額 - 課税仕入れに係る消費税額

「課税売上に係る消費税」が「預かった消費税」で、「課税仕入れに係る消費税額」が「支払った消費税」を意味しており、「課税売上に係る消費税」から「課税仕入れに係る消費税額」を差し引くことを仕入税額控除といいます。

算式を見てわかる通り、納付税額を計算する場合には、「課税売上に係る消費税」の金額と、そこから差し引く「課税仕入れに係る消費税額」(仕入税額控除)を算定する必要があります。

これを算定する場合、「課税売上に係る消費税」については比較的簡単に求めることができるでしょう。

なぜなら、自分自身で事業を行っており、顧客からの入金管理等もしているので、預かった消費税がいくらかというのは区分して把握できるからです。

一方で、「課税仕入れに係る消費税額」(仕入税額控除)は、様々な経費のすべてに関して消費税額を把握・集計しなければならないので、簡単ではありません。

そのため、「課税仕入れに係る消費税額」(仕入税額控除)については、いくつかの計算方法が準備されています。

仕入控除税額の計算方法

「課税仕入れに係る消費税額」(仕入税額控除)を計算する場合、以下2つの計算方式があります。

  • 個別対応方式
  • 一括比例配分方式

個別対応方式とは、その名前のとおり、仕入に係る消費税について、その仕入が課税売上(消費税対象となる売上)を獲得するために係った仕入か否か、または共通的なものかの3つに区分して、仕入税額控除の金額を算定します。

一方で、一括比例配分方式では、「課税仕入れに係る消費税額」に課税売上(消費税対象となる売上)の割合を乗じて簡便的に、仕入税額控除の金額を算定します。

なお、一定の期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者については、課税売上だけを集計して国に支払う消費税額を計算する「簡易課税」という方式が認められています。

簡易課税による場合は、業種ごとに一定の仕入比率というものが設定されており、「課税仕入れに係る消費税額」にこの仕入比率を乗じることで仕入税額控除の金額を算定します。

なお、この簡易課税制度を適用する場合には、事業年度開始前に税務署に対して「簡易課税制度選択届出書」により届け出を行う必要があります。

計算における補足・留意点

計算における補足・留意点

最後に、消費税計算を電卓やエクセル等で実施する場合等の場合の参考として、税抜き・税込み計算や端数処理の方法をご紹介します。

税込み価格から税抜き価格の計算

  • 消費税率10%の場合(標準税率)

税抜き価格 = 税込み価格 ÷ 1.1
(税込み価格 × 0.909でも税抜き価格を求めることができます。)

  • 消費税率8%の場合(軽減税率)

税抜き価格 = 税込み価格 ÷ 1.08
(税込み価格 × 0.926でも税抜き価格を求めることができます。)

小数点以下の端数処理

消費税計算では小数点以下の端数が発生することも多く、四捨五入、切り捨て、切り上げ等の処理方法によって金額が少し変わることになります。

しかしながら、消費税の計算における1円未満の端数処理については、厳密な決まりはありません。このことは、国税庁および総務省のホームページでもいずれの方法でも問題ない旨が明記されています。

そのため、端数処理の方法は、各事業者に委ねられていますので、お好きな端数処理方法を選択して問題ありません。

まとめ

まとめ
本記事では、消費税の概要や具体的な計算方法を解説させて頂きました。

また、実際の消費税計算における税抜き・税込み計算や端数処理の方法について紹介しました。

本記事を参考に、消費税の制度や計算方法の仕組みの理解を深め、余裕をもって消費税の確定申告に臨みましょう。

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