【医療法人向け】法人保険の加入メリットや失敗しないための選び方を解説

医療法人は法人保険に加入するべき?

「法人保険を活用することで”保険料を経費として処理しながら貯蓄ができる”」

そんな話を聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実は、医療法人では個人事業の場合と異なり、法人保険料を経費に計上する事が可能です。

また、貯蓄性の法人保険(保険種類により、全額経費・半分経費等があります)へ加入する事で、保険料を経費にしながら、貯蓄していく事もできるのです。

この記事では、法人保険に加入することによって得られる、実際の効果やメリットを解説。

法人保険選びで失敗しないためのポイントについてもご紹介します。

法人保険への加入をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

まずは確認!医療事業の継続に必要な主な資金

まずは確認!医療事業の継続に必要な主な資金

  • 当面の病院の運転資金
  • 医療機器のリース代の支払いのための資金
  • 借入金の返済のための資金
  • 従業員に支払う給与や退職金のための資金など

これらの資金について、最低限必要な期間分を合計したものが、万が一の場合の病院経営に必要な保障額になります。

具体的には次のように必要保障額を計算します。

病院の運転資金・リース代+短期・長期借入金+従業員給与=必要保障額

法人保険(生命保険)を活用することで、これらの事業資金の保障をカバーすることができます。

医療法人が実践したい、法人保険の「活用法」は?

医療法人が実践したい、法人保険の「活用法」は?

ここでは、医療法人が実践したい、法人保険の活用法について解説します。

経営者・役員のリスクに備える

経営者保険は、法人保険やキーマン保険とも言われ、その名の通り、重要なポジションを務める方向けに利用されています。

特に、少数精鋭で事業を行っている中小企業の場合だと、経営者は非常に重要な役割を担っているといえます。

もし、突然のケガや病気などで経営者が経営を離れるとすると、その損失は計り知れません。

そのようなときに経営者保険に加入をしていると、保険金を受け取ることが可能になり、一時的にでも経営を支える資金を手にすることができる可能性があります。

経営者が倒れたとなると、銀行などの金融機関も融資をスムーズに行ってくれるとは限りません。

その場合に、円滑な資金調達方法として経営者保険を活用するのです。

もちろん、経営者保険に加入をしていることで、経営者自身も手術や入院費用などの手厚い保障を受けられます。

万が一の場合の予備資金を形成できる

会社の事業活動を行う上で、万が一の不測の事態に備えて予備資金を準備しているかどうかではかなり違いがあります。

ただ、日々の事業活動でも、さまざまな経費が必要になるため、会社の内部留保だけでは、いざというときのための資金準備をしておくのは難しいのではないでしょうか。

そこで、もし手元に資金が残っていて有効に活用したいという場合には、経営者保険への加入を検討してみるのも資金形成のひとつの方法です。

簿外資産として保険会社に保険金を積み立てておくことによって、納税用の予備資金や大口の外注費など、資金の捻出が難しいときの備えを用意しておくことができます。

さらに、取引先の倒産や盗難事故、火災などによって急に資金が必要になった場合にも、経営者保険は緊急時に使用できる資金の蓄えとなるのです。

損害保険で賠償リスクに備える

損害保険で賠償リスクに備える

医療法人ではその性質上、他の法人と比較しても賠償リスクが大きくなるのが特徴です。

法人保険(損害保険)に加入することで、様々な賠償リスクに備えることができます。

以下で、具体的な損害保険の種類について解説します。

施設賠償責任保険

病院施設、設備、機器等の不備や、業務活動の上でのミスが原因で、第三者に傷害を与えた場合等(建物の火災によって患者が死亡した場合等)に、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する保険です。

医師賠償責任保険

医療上の過失により患者の身体や財物に損害を与えた場合に、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する保険です。

医師や歯科医師が対象である一般の医師賠償責任保険、日本医師会会員が対象である日本医師会の医師賠償責任保険があります。

看護師賠償責任保険

看護師が間違って他人を傷付けた場合等、その看護師等に対して補償金を給付することによって被る損害や、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する保険です。

在職従業員の福利厚生に

法人保険としての医療保険は、従業員を被保険者として契約することで、在職中の福利厚生として活用することができます。

福利厚生を整えることで、社員の定着率の向上や、採用時の入社希望者増加につながるでしょう。

また、掛け捨てタイプの医療保険の場合、福利厚生として活用することで、保険料の全額を損金に計上することができます。

そのため、法人税の節税につながります。

なお、福利厚生として加入していることが認められるには、下記の条件を満たす必要があります。

  • 原則として、従業員全員を加入対象としている
  • 役員と従業員の大部分が同族関係者ではない
  • 「福利厚生規定」を作成し、保険の加入目的を明確にしている など

もし上記の条件を満たさずに福利厚生費として認められない場合、従業員への給与という扱いになるため注意しましょう。

一生涯の医療保障を退職金代わりに

終身タイプの医療保険に契約し、被保険者である従業員が退職する際に従業員個人に名義を変更して、退職金の一部として一生涯の医療保障を譲渡することも可能です。

法人があらかじめ短期間で保険料を払い込み(保険料の短期払い)をすることで、名義変更後には従業員が保険料の負担をせずに一生涯の医療保障を手に入れることができます。

このように、従業員を対象とした医療保険の場合、主に在職中の保障や退職金代わりの譲渡など、福利厚生の一部として活用されます。

個人保険との大きな差は「節税効果」

個人保険との大きな差は「節税効果」

個人が生命保険に加入すると、所得税の生命保険料控除の額は最大12万円と決まっています。

一方で、医療法人の場合は加入する保険契約や内容により、支払った生命保険料の「全額」「1/2」「1/4」といった一定金額を経費することが可能です。

つまり、医療法人を契約者として、法人の役員を被保険者とした法人保険に加入しますと保険の種類にもよりますが、保険料の一定割合を損金処理する事ができるのです。

更に設計の仕方によっては、将来解約した場合に返戻金が戻るようにできます。

このタイプの法人保険は、死亡保障・退職金の積立が同時に行える『長期平準定期保険』や『逓増定期保険』があり、将来の法人の継承にも有利です。

ここでは、法人保険の種類について解説します。

全額損金の定期保険

全額損金の定期保険は、支払った保険料を「全額」経費にすることが可能です。

全額を損金に計上することから、全損ともいいます。

全額損金は、法人税負担を抑える代わりに、解約返戻金が少なめに設定されているのが特徴です。

全額損金の定期保険に入る際は、解約返戻金を多く受け取れるタイミングを見極めるのが大切です。

最近では、死亡保険金を受け取れる条件を限定する代わりに、解約返戻金を高めに設定している法人保険もあります。

そのため、全額損金の定期保険の被験者を若い社員にし、経営者の退職金を準備することに向いています。

注意点として、全額保険の場合は解約返戻金が全額、益金に算入するということです。

法人税負担が少なくなったとしても、手元に残るお金が少なくなれば加入した意味がないでしょう。

とはいえ、定期保険の解約と同じタイミングで解約返戻金の額以上を損金に算入すれば、大きな節税効果が期待できます。

将来的に多額の支出が確実に必要だとわかっていれば、全額損金の定期保険はおすすめです。

1/2損金の逓増定期保険

逓増定期保険とは、保険金額が段階的に増加していくタイプの定期保険です。

万が一経営者に何か起こった際や、法人が経営危機に陥った時のための資金確保に備えられます。

1/2損金の逓増定期保険は年齢制限がなく、設定できる保険料にも制限がありません。また、全額損金に比べて解約返戻率は高めに設定されています。

10年くらい90%以上をキープする逓増定期保険もあるため、全額損金のものと比較すると、利用しやすいといえるでしょう。

ただし、逓増定期保険は返戻率のピークを過ぎると1年ごとに10%前後返戻率が減っていきます。

そのため、1/2損金の逓増定期保険は、10年前後という比較的短期間を目安にして退職金を積み立てることなどに向いているでしょう。

1/3損金の逓増定期保険

1/3損金の逓増定期保険は、前述した1/2損金の逓増定期保険よりも解約返戻金が高いのが特徴です。

さらに、返戻率100%を超える期間が10〜25年後と非常に長くなります。

退職金の積み立てや長期の資産形成に向いている保険といえるでしょう。

しかし、資産の2/3は資産計上になるため、節税向きではなくなる点には注意が必要です。

順調に利益を伸ばしていて、節税したい場合には向かないといえます。

医療法人は法人保険に加入するべき?

医療法人は法人保険に加入するべき?

結論から申し上げますと、「医療法人は法人保険に加入するべきである」といえます。

会社を運営するにあたっては、従業員のケガや病気、経営不振や経営者の万が一の事態など、多くの課題をクリアしていく必要があります。

こうした事態に備えることができるのが法人保険です。

法人保険に加入しておくと、経営者や役員に万一のことがあった際の事業リスクに備えることができるだけでなく、経営者の退職金の積立に活用したり、従業員の福利厚生を充実させたりすることにもつながります。

法人保険を正しく選択することで、保険は企業を下支えする強力な味方となるのです。

”失敗しない”法人保険選びのポイント

”失敗しない”法人保険選びのポイント""

加入する保険を選ぶ際のポイントは、今の会社の経営状況を見極めながら選ぶということです。

自社の経営状況と保険の契約内容をすり合わせて、自社に最適な保険を選びましょう。

以下で、失敗しないための法人保険選びのポイントについて解説します。

目的を明確にする

法人保険には、大きく法人向け生命保険と法人向け損害保険がありますが、それぞれ加入目的や対策の取れるリスクが異なります。

また、ひとつの法人保険で対応できることもありますが、複数の生命保険や損害保険を組み合わせることで、より自社にとって有益な事業保障が得られることもあります。

まずは自社がどのような目的で法人保険に加入したいのかその目的を明らかにし、リスク回避できる種類の法人保険かどうかを比較のうえ選ぶことが大切です。

事業計画に合わせて選ぶ

業種や会社の現状だけでなく、今後の事業計画にも目を向け、適切な保険を選ぶことが大切です。

また、事業を継続する上で、環境が大きく変わる場合もあります。

法人保険加入後、臨機応変に対応ができるかどうかもポイントとなります。

無理のない保険料を設定する

法人保険に加入する際はできるだけ手厚い保障内容のものに加入したいと考えがちですが、一般的に、生命保険も損害保険も保障(補償)内容が手厚くなる程保険料が高額になることが多いです。

必要な期間継続できるよう、無理のない範囲で保障(補償)と保険料のバランスを取ることが重要です。

まずは、「どのくらいの保険金額が必要か」を判断し、資金繰りに無理のない範囲で「保険料」の金額を見込んでいきます。

保険料は後で減額できますが、元本割れしますのでオススメできません。

最初にしっかり見込んでおきましょう。

解約返戻率を確認する

事業資金の準備や経営者・役員の退職金準備対策などを目的として法人保険に加入する場合は、解約返戻率の高い法人保険かどうかを比較することが大切です。

解約返戻率は、支払った保険料に対してどのくらい中途解約金が受け取れるのかの割合を表わしており、返戻率が高いほど受け取れる金額が大きくなります。

保険会社により、また保険商品により解約返戻率が異なるため、保険会社の担当者と相談しながら比較検討すると良いでしょう。

なお、同じ保険商品でも解約するタイミングによって解約返戻率が異なるため、解約タイミングについても担当者と相談しておくことをおすすめします。

経営全般のお悩みは七福計画株式会社までご相談ください

経営全般のお悩みは七福計画株式会社までご相談ください

七福計画株式会社では、「活力と耐力ある会社の構築」をモットーに、お客さまの会社の状況を丁寧にヒアリング。

経営支援から経営者個人、従業員、資金対策、事業承継、相続まで、最適なご提案をいたします。

主なサービス内容は以下の通り。

対象 概要
経営者 日本の税制の傾向は、法人税は下げる方向へ、そして所得税・相続税等の個人の資産税は上げる方向へ進んでいます。経営者の方々へ法人を活用する最適なリスクマネジメントと役員退職金準備をご案内しています。
経営者個人 経営者の加入保険を見たときに、個人保険がおろそかになり、目的が不明確になっているケースがあります。経営者のリスクマネジメントは法人と個人のバランスを考慮する必要があります。
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資金対策 中小企業の発展には、経営者個人が自分の意思で自由に活用できる手元キャッシュ・緊急時の簿外キャッシュの準備が重要です。保険を使って合理的に財務体質強化をする方法をご案内しています。
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特に、医療法人の保険相談に特化した経営支援を得意としており、七福計画株式会社と提携している税理士や弁護士、ファイナンシャルプランナーとのネットワークや法人保険を活用して課題解決するお手伝いをします。

医療法人の経営全般のお悩みは、七福計画株式会社までご相談ください。

記事まとめ

記事まとめ

この記事では、法人保険に加入することによって得られる、実際の効果やメリットを解説。

法人保険選びで失敗しないためのポイントについてもご紹介しました。

法人保険に加入することによって得られる実際の効果やメリットは以下の通りです。

  • 経営者・役員のリスクに備える
  • 万が一の場合の予備資金を形成できる
  • 損害保険で賠償リスクに備える
  • 在職従業員の福利厚生に
  • 一生涯の医療保障を退職金代わりに
  • 保険料を損金算入して短期的な節税対策

資金対策やリスクマネジメントの一環として、法人保険への加入は必要不可欠であるといえるでしょう。

さらに、医療法人はその性質上、様々な賠償リスクに備える必要もあります。

医療法人設立の第一歩として、まずは法人保険の加入をご検討ください。

医療法人さまの法人保険に関するご相談はこちら

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