経費処理で知っておきたい勘定科目を一覧で解説
事業を行っていくうえではさまざまな経費が発生します。
それぞれの経費を適正に管理していく必要がありますが、まずはどのような勘定科目があるのか勘定科目一覧で確認し、そのうえでそれぞれの勘定項目の内容を理解することが大切です。
ここでは、決算書に記載されている勘定項目一覧と、よく利用される経費項目について、その内容や具体例などを紹介していきます。
また、勘定項目一覧に経費項目を追加することのメリットや注意点なども併せて解説していきます。
勘定科目一覧表で経費を理解することの重要性
事業を行っていると、従業員への給与や水道光熱費、地代家賃などさまざまな経費が発生します。それを勘定科目一覧から適切な経費項目を選び帳簿に記載していく必要があります。
一つひとつの経費が勘定科目一覧の中でどれに該当するのかを理解することは、正確な経理処理において非常に重要なことです。
また、経費を適切な勘定科目で仕訳しておくと、それぞれの経費ごとの明細をすぐに把握することができて便利です。
たとえば、先月の通信費が何にいくらかかったかを知りたいときは、勘定科目一覧から通信費のデータを選択するとすぐに内容を確認できます。
適切な経理を行うには、勘定科目一覧のすべての経費がそれぞれどのような内容の費用を計上するものなのかを知ることが大切です。そこで次章では、経理上知っておきたい勘定科目を詳しく解説していきます。
経費における勘定科目一覧
経費における勘定科目一覧は以下の通りです。
勘定科目 | 内容・具体例 |
---|---|
給与賃金 | 従業員へ支払う給与・賃金・手当のほか制服代・食事代など現物支給のものも含む。退職金を含める場合もある。 |
地代家賃 | 事務所や店舗、工場、倉庫、駐車場などの敷地の地代、建物を賃貸している場合の賃料。(自宅兼店舗の場合は、自宅分を除外する) |
租税公課 | 経費に該当する税金や負担金などに支払った費用。事業税、固定資産税、自動車税不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金。印鑑証明書や住民票の発行手数料、商工会議所などの会費・組合費なども含む。 |
水道光熱費 | 事業で使用した電気料金、水道・下水道料金、ガス料金、石油代、灯油代など(自宅兼店舗の場合は、自宅分を除外する) |
通信費 | 電話料金やファックス代、インターネット接続料、携帯電話料金、切手代、はがき代など。バイク便なども含む。 |
旅費交通費 | 電車賃、バス代、タクシー代、高速料金、通勤定期代、時間駐車場代など。出張旅費やホテルの宿泊費用なども含む。 |
広告宣伝費 | 商品やサービスを販売するために必要な費用。雑誌や新聞、テレビやチラシなどの広告費、試供品などの費用、ショーウィンドウの陳列装飾費用など。 |
接待交際費 | 取引先への接待費用(取引先の送迎に支出した費用も含む)や、打ち合わせ時など事業用の茶菓子代、贈答品代、お中元・お歳暮、業務上関わりがある人の結婚式のご祝儀代などの慶弔金など |
消耗品費 | コピー用紙や文房具、名刺などの消耗品。使用可能期間が1年未満もしくは取得価額が10万円未満の什器備品が対象。 |
福利厚生費 | 従業員の慰安や衛生、医療や保健などを目的とした費用。社宅の賃料や慶弔見舞金、忘年会や新年会の費用など。また、健康保険や厚生年金、雇用保険の事業主負担分も含む。 |
減価償却費 | 取得金額が10万円を超える建物、機械、船舶、車両、器具備品などの償却資産を、購入年度に全額計上せずに耐用年数に応じて分配し計上する費用。耐用年数は普通自動車が6年、パソコンが4年など法律で決められている。 |
損害保険料 | 万が一の損害から事業を守るためにかける保険料。火災保険料や自動車保険料など |
荷造運賃 | 販売商品の出荷に要する包装材料費、荷造りした者への賃金、商品の輸送費用など |
外注工賃 | 業務の一部を外部に発注した場合にかかる費用。外部業者に修理・加工を発注した場合の加工賃や手間賃など。 |
貸倒金 (貸倒損失) | 売掛金や受取手形、貸付金などの金銭債権で回収不能となったもの |
修繕費 | 事務所や店舗、自動車、機械、器具備品の修繕などのために支出した費用。ただし、資産価値が向上する場合の支出は「資本的支出」に該当するため、減価償却資産の取得価額に含める。 |
利子割引料 | 事業用資金の借入の支払利息や受取手形の割引料など。 |
賃借料(リース料) | 機材や自動車、OA機器などのレンタル料。 |
新聞図書費 | 事業上必要な新聞や書籍・雑誌代などの費用 |
支払手数料 | 事業上発生する取引に関する手数料や費用、報酬などの費用。振込手数料、仲介手数料、代引き手数料、弁護士・税理士等に支払った報酬など。 |
研究開発費 | これまでにはない新しい製品やサービスの開発のための費用。新製品研究開発のための研修費用やセミナー受講費なども含まれる。 |
繰延資産 | 本来費用として計上するべきものを少額ずつ費用化する資産。創立費や開業費、社債発行費など。 |
雑費 | 事業に必要な経費で勘定科目一覧にない費用 |
勘定科目は自由に設定できる?
事業上発生する経費は、その企業の事業内容や業種、業務形態によって異なる勘定科目が利用されています。では、勘定科目は自由に設定・利用しても良いのでしょうか?
勘定科目は追加することも可能
一般的に、経理処理上利用する経費項目は、決算書に記載されている勘定項目一覧を利用することが原則となります。
しかし、それ以外にも必要に応じて追加できる経費項目があるため、業務内容などによって適宜追加することが可能です。
勘定科目一覧に経費項目を追加するメリット
これまでの勘定科目一覧に新たに経費項目を追加すると、次のようなメリットがあります。
経費の内訳がわかりやすくなる
勘定科目一覧の中でも、「消耗品費」や「雑費」などはほかの経費項目と比較して明細のボリュームが大きくなりがちです。
そこで、単に消耗品費や雑費としてまとめずに、さらに細かい経費ごとに分けて仕訳処理をすると内容がわかりやすくなります。
たとえば、消耗品費の中で事務用品に関するものは、「事務用品費」として独立した経費項目で仕訳するといったイメージです。
これまでエクセルなどで別途管理していた場合などは、経費項目の追加を検討してみると良いでしょう。
経費の管理がしやすい
経理処理をしていると、「〇〇についての経費がひと目でわかると便利」などと感じることがあります。
そういった経費について、既存の勘定科目一覧に経費項目を新しく設けると、業務の簡素化やスムーズな分析などに役立ちます。
勘定科目一覧に経費項目を追加するときの注意点
新しい経費項目を勘定科目一覧に追加する際には、次の点に注意が必要です。
経費項目を増やし過ぎないようにする
勘定科目一覧に自由に経費項目を追加できるとはいえ、追加しすぎないように気をつけましょう。
理由は、決算書に記載できる勘定科目には限りがあるためです。
また、増やし過ぎたために返って経理処理が煩雑になってしまう可能性も。
いくつまでといった決まりはありませんが、5つ程度を目安と考えておくと良いでしょう。
継続性のあるものだけにする
経理処理のルールは頻繁に変更してはいけないものです。
そのため、年度によって勘定科目を追加したり逆にほかの経費項目と合算したりなど自由に処理することはできません。
勘定科目一覧に経費項目を追加する場合は、その経費項目に継続性があるかをしっかり検討する必要があります。
わかりやすい経費項目名にする
勘定科目一覧に経費項目を追加するときは、だれがみてもわかりやすい経費項目名にすることが重要です。略称や業界用語ではなく、決算書として提出した際に理解されやすい名称にしましょう。
法人向けクレジットカードは経理処理に役立つ
法人向けクレジットカード(ビジネスカード)とは、企業や個人事業主向けに発行されるクレジットカードです。
企業の業務上の経費を支払うためのクレジットカードで、企業の代表や個人事業主だけでなく追加カードを発行すれば従業員も利用できます。
法人向けクレジットカード(ビジネスカード)を利用するメリットを経費処理の面から解説していきます。
経費処理の効率化が期待できる
事業に関する経費を支払う際に法人向けクレジットカード(ビジネスカード)を利用すると、登録した事業用の口座から引き落とされるため、経理処理の効率化が期待できます。
また、会計ソフトと連動させると、経理ミスを減らせたり処理スピードがますますスピーディになったりするメリットもあります。
年会費は経費計上可能
個人向けのクレジットカードには年会費無料のものもありますが、法人向けクレジットカード(ビジネスカード)は年会費のかかるものがほとんどです。
しかし、支払った年会費は経費計上が可能なので、年会費だけに注目するのではなく特典やサービス面を重視して選ぶこともできます。
利用代金に応じてポイントやマイルが貯まる
法人向けクレジットカード(ビジネスカード)も、個人向けのクレジットカードのように利用代金に応じてポイントやマイルが付与されます。
貯めたポイントはギフトカードや景品などと交換できるため経費削減に役立ちます。また、マイルは航空機で出張する際に利用できて便利です。
まとめ
勘定科目一覧には事業上必要な経費項目が設定されていますが、発生した費用がどの経費項目に該当するのかは、それぞれの経費項目の内容や具体例を理解しておくことが大切です。
また、経理処理をより明確化するためには、勘定科目一覧表に追加で経費項目を設定することも可能。さらに、法人向けクレジットカードを活用すると、経理処理のミスの軽減やスピーディな処理が可能になるなどのメリットがあります。
経理の正しい知識をつけ、健全な会社経営を心がけましょう。